第18章 ムカツク【蜂楽視点】 ✢
「……夢、ちゃん……?」
ドクン、ドクン……
重い心臓の音が、全身を巡る。
壁ドンして、長身を屈めるメガネ。
眼を瞑って、静かに受け入れる夢ちゃん。
は?なんで?
なんで、キスしてんの?
なんで、そのキス受け入れてんの?
バタバタ入ってきた俺をシカトして
なんで、慌てて離れようともしないの……?
「っ、おい、クソメガネ。いつまでしてんだよ…。俺の夢から離れろ…!」
声が、怒りで震える。
ドキドキしてんのに、頭に酸素が巡らない。
俺より背が高いなんてカンケーない。
肩を強く掴んで、夢ちゃんから引き剥がした。
「っざけんな。お前っ、自分で何したか、解ってんの……?」
メガネの胸ぐらを掴む。
どんどん、眉間のシワが深くなっていくのが判る。
どんどん、腹の真ん中が黒く熱くなるのが判る。
「……夢のコト、諦めたって聞いたんだけど。
俺の聞き間違いだったみたいだから……
今、ぶっ潰す。」
抑えきれない“衝動”。
俺は、俺と“かいぶつ”を……制御できない───。
「止めてっ!!」
メガネを殴ろうとする瞬間、夢ちゃんが叫んだのがかろうじて聞こえた。