第16章 依存の入口
「おはよ。夢ちゃん♪」
ヘッドホンをつけた蜂楽が、スマホをフリフリと振りながらやってきた。
聴いてきた音楽を停止させて、ポケットへ入れる。
翌日の日曜日も、蜂楽と一緒に過ごす約束をした。
蜂楽の家で一緒に勉強するのに、尾行が心配だからと言って、わざわざウチに迎えに来てくれた。
「おはよ廻。今日はテスト勉強しようね。ミサンガはそのあと一緒に作ろ?」
「勉強嫌いだけど、早くミサンガ作りたいから、俺がんばる♪」
相変わらず、歩く時には必ず手を繋いでくれる。
蜂楽が、頭の後ろに手を組むのが癖なのは知ってる。
それでもギュッと握ってくれる恋人繋ぎに、二ヶ月以上経ってもときめいてしまう。
週末は、金曜日の夜からずっと一緒にいる。
金曜日にウチに泊まったことは、優さんにだってヒミツ。
こんなに長い時間、蜂楽と過ごすのは初めてだ。
これでもまだ本当の恋人じゃない、私達。
してないのは、“本番”だけ。
この不思議な焦らしが、もどかしく感じる反面…
ある意味で、性的な興奮の誘因にもなっていたりする。