第2章 帰り道の約束
「あとさ!クン付けとかちょー萎えるよっ!
呼び捨てでいーよって言ったっしょ?」
「あっ、そか。ごめん。」
「全然カレシっぽくなくて雰囲気出ないよ。
恋人ゴッコの時は廻って呼んで!普段は蜂楽でもまぁ許可しちゃる!」
「え…!あ、うんっ…。」
視線を向ければ、制服の袖を捲った腕は逞しいのに。
ふくれっ面は、少年みたいに可愛い。
「今度クン付けしたら、オプション追加しまーす!約束できるひとー?」
「え゛……またオプション追加……!?」
「何が良いと思う?過激なのイッちゃう?」
「……ヘンタイ。」
「ね、夢ちゃん!恋バナして、恋バナ!」
「女子なら誰でも恋バナあると思ったら大間違い。」
トントン拍子に仲良くなってる気がするのは、
蜂楽のコミュ力のお陰以外なんでもない。
今は“ニセ彼氏”なんて関係だけど…
そういう利害関係とか、立場とかなしで…
いつか本当の友達になりたいな。
「ところで蜂…廻って、何部なの?」
「俺?いちおーサッカー部。」
「……そー、なんだ。」
「なにその間?」
サッカー部……か。
“あの人”と……関係なければいいけど───。
一抹の不安を残して、家の前まで送ってくれた蜂楽にバイバイをして別れた。