• テキストサイズ

【ブルーロック】蜂蜜のファーストラブ

第11章 ビター ✢





「サッカー部ー!!集合しろー!!」




その時、遠くで男子の声が響いた。


その声ではっとする。



自分でも知らないうちに泣いていたらしい。


頬には涙の筋の冷たい感触が残っている。





「……ごめん。俺、どうしたんだろ……。」





我に返った蜂楽は、戸惑いながら私から離れた。



その表情(かお)は、今にも泣きそうだった。



この空模様みたいに。





「……俺、合宿いくよ。」





いつもより低い声が、震えてる。


涙を必死で堪えているような、苦悩に満ちた顔。


俯いて、すぐに前髪で隠された。





「……気を付けて、ね。」


「……たかが合宿っしょ。」





気まずい雰囲気で、蜂楽はグラウンドへ向かった。


サッカー部の男子達の中に混じる彼は

違う人に見えた。





“あの日の蜂楽の行動は‘衝動性’そのものでした。”


試合の日の、蝶野くんの言葉を思い出す。





「……苦いよ。」




蜂楽に噛まれた首筋がひりつく。


食い込む歯の痛みと、ぬるっとした舌の感触。




それに、最後の表情が……頭から離れない。




蜂楽は泣いてしまうと、勝手に思っていたのに。


泣くのを必死に堪えていた、あの表情を───。





「会議……行かなきゃ。」


涙を拭って、乱れたシャツをスカートの中に入れた。




頭の中は真っ白だったのに……


足は不思議と、勝手に生徒会室へ向かっていた。


/ 514ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp