第2章 帰り道の約束
お互い生徒会と部活を終えて、川沿いを歩いて帰路についた放課後。
私と蜂楽の手は繋がれていた。
この日初めて出会った男子と手を繋ぐなんて、本当にらしくないことをしてることに自分が一番驚いている。
「♪」
蜂楽は楽しそうに鼻歌を口づさんでいた。
私はというと、この世のものとは思えないくらい、ドキドキしていた。
男の、骨張ってゴツゴツした手。
浮き出る血管。
私の手をすっぽり包める大きさと厚み。
細身の体と中性的な顔立ちである蜂楽。
というか、女子も顔負けの顔面偏差値だ。
なのに、しっかり男を意識させられる逞しさ。
10分くらい前、初めて手を繋いだ時だって……
「夢ちゃんの手、ちっちゃくてかーわいー。それにすげぇスベスベだね!」
なんて恥ずかしいこと言ってきて。
誰にでもこうなのだろうか。
小悪魔的な性格、ってやつ。
良い人なのは解る。
だけど、ズルい。
この恋人役の依頼。
私の方は事情や焦りもあって、藁にもすがる想いで蜂楽に頼んだ。
でも蜂楽はやたら楽しんでいるようで…
昼寝席確保の他に目的があるのか、単にこういう性格なのか。
この人のこと、当然ながらまだなんにも知らない。
「どーしたのー?せっかく俺とラブラブ下校してんのに、難しい顔してるよ?夢ちゃん。」