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秘められた宿命

第1章 出会いと宿命


(今この足でお菊が殺しに行くかもしれない。)

いや、秀吉様が殺されるわけない。
幾度となく死線をくぐって来た秀吉様が…。


桜はお菊の後を追った。
べったりお菊に貼りついたまま子の刻となった。


お菊「あのね、こっちは3年もいるのよ。今日殺すかどうかも分からないのにべったりくっついてこないでよ」


桜「だってあんたが…。」


お菊「あぁもうじゃぁ今日はやらないから寝てよ」


桜「一緒に寝よう」


お菊「ばかじゃない?このお人良し、秘密を知った自分が殺されるとか考えないの?」


桜「殺す気なら秘密は言わない。止めて欲しいんじゃないの?」


お菊「嫌い」


桜「私はお菊が好きだから、一緒に寝よう」


お菊は疲れたのか、私の横ですやすや寝息を立てた。
私も張りつめていた糸が切れて眠りについた。


ところが、私がふと気づくと、腕の中のお菊はいなかった。


代わりに私のハサミを持ち出されていた。


直感で秀吉様の部屋に向かってる事は分かり走って追いかけた。


その襖に手をかけようとした寸前の所で私は口をふさぎ後ろからお菊を羽交い絞めにした。



苦しそうにもがくお菊

「んぐぅ・・なせっ」



暗闇の中で女二人でドタバタ転がりまわる。



手には私の髪結いとしてのハサミを持っている。しかも秀吉様に頂いた大事なハサミだ。


なぜ殺すのか?

そんな理由どうでもよかった。

個人的な怨恨だろうが何だろうが、私が知る秀吉様をお守りするしかなかった。


全力で抵抗するお菊がついに私に刃物を向けてきた。

その時、交わすかのように全ての体重をかけ、お菊を倒すと、手からハサミを奪い取り、腹に刺した。


お菊「…・ぅぅうっ・・・なんで」
目を見開いたまま大粒の涙を流しながら私を下から見上げた。


馬乗りになった私もまた大粒の涙を流した。

初めて人を刺してしまった。

お菊が死んでしまう。誰か助けて。











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