第1章 出会いと宿命
(死ぬことを覚悟していた。この世は地獄、私の人生は悪魔にささげたようなものだ…。)
14歳で売り飛ばされ、汚い男どもに抱かれ続けてきた。
孕む事はなかった。
むしろ、自分の体はもう子どもを望めないのだろう。そんな絶望もあった。
遊郭の女でもない私はただボロボロにされ、男の欲望を満たすためだけに存在した、汚く醜い自分の体を大事になど出来なかった。
生きている意味も忘れ、奴隷として飼われている家で粗末な飯を食わされ生きながらえさせられた。
いっそ殺してくれたらいいのに。
幼ながらそう思った。
ある時、包丁を手に入れ、川べりで喉元に突き付けた。
(早くこうしていれば良かった)
ただ、手は震え、涙が溢れている。
死より辛い現実を毎日味わいながらもまだ死が怖く生きたいのか…。
笑えて来た。黒い瞳には生気はなく、ただ流れる川を見ながら笑った。
そこへ通りかかった男から声をかけられた
??「どうした?」
「放っておいてください」
??「思い詰めているな、目に生きる気力がない」
「卑しい身分の存在にあなたのような人が声をかけない方が良い」
??「身分など関係ない、死のうとしているな?」
びくっ
反社的に背を向け立ち去ろうとする。
すると、馬からおりて来た武将は私に目線を合わせて名乗った
秀吉「我が名は秀吉だ。信長さまにお仕えしている。」
桜「そうですか。何か用ですか?」
秀吉「なぁに、美女が一人死のうとしているから助けようかというお節介だ」
桜「死にたいのです。」
秀吉「死にたいのなら、俺の所に来い。悪いようにはせぬ」
それから安土に向かう馬に乗せられた。
自分は何ではしたない匂いをしてるんだろう。
自分で自分の匂いが分かるのだから、相当臭いであろう。
それに比べ、この秀吉とやらはやたらと良い香りがする。
心が安心するというか…。
立派な城につき、私は息をのんだ。
これは…。