第2章 絶望と孤独
褥に手招きされ、腕を掴まれるとそのまま政宗にゆっくりと抱き寄せられ、押し倒された。
大事に大事に蕩けさせられ、抱かれ、政宗の腕の中で何度も果て朝を迎えた。
私はそのまま寝てしまったが朝起きると政宗は起きていた。
私が死なないか心配だった政宗は眠れなかったのだろう
政宗「よう起きたか?」
軽い調子で聞かれた。まさか昨日女を殺した女を抱いたとは思えないようなく口ぶりだ。
桜「…。」
政宗「つれないなぁ」
桜「昨日は夢を見させてくれてありがとうございました」
政宗「俺で良ければいつでも…」
嘘でもうれしかった。まだ夢は続いている。
桜の額に軽い口づけをして、頭を撫でてくれた。
桜「っっ!!!」
経験したことのない高揚で頭が真っ白になった。
桜「あの、もうご迷惑はおかけしません。ですが、本当に今宵の事は後生大事に胸に仕舞い生きていけると思います」
政宗は少し考えて真面目な顔をして言った。
政宗「生きろよ。秀吉の為にも。」
(俺の為にとは言ってくれない。)
なんて欲張りな妄想が浮かび途端に恥ずかしくなり褥から体を上げた。
いつも通り髪をひとつにまとめ結い部屋を後にしようとすると、政宗が呼び止めた。
政宗「さくら…髪結いなんだったよな?今度俺の髪を切ってくれ」
まだ名前を呼ばれた事が嬉しくて
約束が嬉しくて
生きる希望が湧いた。
桜「はい、いつでも」
こんな経験は初めてだった。
(一生の思い出にしよう)
生きていける。
奴隷として、獣に抱かれる経験しかなかった自分。
男が大嫌いだった自分が
秀吉という男に生かされ、命を懸けお守りすることができた。
そして人を殺した重圧で死にそうな自己嫌悪に陥った時に自分が愛した男が救ってくれた。