第2章 中毒ロマンス（五条視点）

（五条視点）



【運命は我らを幸福にも不幸にもしない。ただその種子を我らに提供するだけである。】

と、かの哲学者ミシェル・ド・モンテーニュは言った。

だとすれば、自分が彼女に出会った運命は幸か不幸か。いや、彼女が僕に出会ってしまったのは幸か不幸か。

問題提起しても、その愚論は始まりも終わりもしない。


「偶然」の玉突き事故で始まったこの運命は、坂道を転がり落ちるように最早誰にも止められなくなった。




――そう、当事者の自分自身でさえも。





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