第3章 私達は
都内の廃工場で突如現れた特級呪霊。
その討伐に指名されたのは乙骨憂太とだった。
2人は面識はあった。
自分と同じ秘匿死刑が決まった乙骨憂太を、は普段から気にしていた。
【都合良く】悟と傑は他の任務で出張している。
勿論、その都合は誰が良いかと言ったら、呪術界の上層部だった。
祓えればよくて、祓えなくても憂太とが消滅するならそれはそれで良いのだから。
(…どうせ2人の出張も仕組まれた事なのだろう…。)
悟と傑が居ない間、は高専に軟禁される。
夥しい数の札と、張られた結界の中では過ごしていた。
その結界を掻い潜って開かれた扉に、は憂太が来たのだと分かった。
憂太はゆっくり扉を開けると、椅子に座って自分を見ているに声を掛けた。
「……行きましょうか、さん…。」
部屋に響いた声はまだ幼さの残る少年の声だった。