第4章 今晩のおかずは鱚みたいです
それでなくともこの本丸の現状を見て、十分以上に自責の念に駆られていたのだ。
現在、使える本丸の領域は本来の10分の1にも満たない。大抵の部屋は荒れ果て、とてもじゃないが人が住める環境ではない。
それもこれも、全部朔夜が2年前に本丸を出て行った所為である。もう一度言おう、全ては朔夜が本丸を出て行った所為である。
「うう……なんだか地の文にまで責められている気がする」
「気のせいでしょう。とにかく、主様には一刻も早く刀剣男子達の力を取り戻し、この本丸を立て直してもらいます。でなければ私もボーナスはおろか給料すら満足にもらえませんので」
「(本当の目的はそっちか)で、今日は何をすればいいの?」
「朝から盛りたいのであれば止めませんが、まずは食料集めでしょう。生身の肉体を持つ主様にとっては死活問題ですから」
「よし、じゃあジャンケンで班を分けよう」
こんのすけのセクハラスレスレの発言を軽くスルーして、5人はジャンケンで3つの班に分かれた。1つは長谷部、今剣の山の幸調達班。もう1つは清光、薬研の川の幸調達班。最後に残ったのは朔夜、国行の待機班である。
待機班――聞こえは良いが、ぶっちゃければただのお留守番組である。一応審神者である朔夜が本丸を離れるわけにはいかないので、護衛を兼ねた国行と一緒に本丸で大人しく待っていろ――という事だ。
「じゃあ、いってらっしゃ~い」
「道中お気をつけてー」
「あんじょう気張りや~」
国行とこんのすけと一緒に、元気よく手を振って4人を見送り終わると、朔夜は突如ガクッとうなだれた。
食うに困って山や川で食材集め。これが三国一(?)と謳われた我が本丸の実情か……情けない、実に情けない。
「お願いです、神様仏様こんのすけ様!課金とかで何とか出来ません!?なんならコンビニでアップルカード買って来ますから!」
「いつまで馬鹿な事言ってるんですか。良いですか?これが現実、これが結末。貴女の我がままに振り回された刀剣男子達のありのままの姿です!」
痛い、痛い、こんのすけの言葉がグサグサ刺さる。珍しくしょぼんと落ち込む朔夜に、国行がやさしく頭を撫でた。
「まあまあ主はん、いまさら過去を気にしても仕方ないわ。取りあえず、4人が食料調達して戻ってくるまで、ゆっくりしようや」