第9章 結婚前夜
脩二と凛帆は式場のホテルに前泊することになっていた。
都心の高層ビルの上階にあるホテルのセミスィート。
凛帆は窓際に佇んで、瞬く夜景を一人眺めていた。
独身最後の夜の祝い「バチェラーパーティ」に呼ばれてるとのことで夕方脩二は出掛けて行った。
「あまり遅くならない様にするからね。夕食はルームサービスを頼むといいよ。」
凛帆のお腹の中には明らかに自分の子ではない命が宿っていることは分かっているだろうに、脩二の態度や振る舞いは全く変わらなかった。
(―――――今夜………ちゃんと脩二さんに言おう。こんなもやもやした気持ちで花嫁に、母親になんてなれない!)
凛帆はぎゅっと拳を握り締めた。