• テキストサイズ

凪の海 時化の海

第7章 帰国


脩二のマンション――――


「まずバスルームでゆっくりしておいで。」


熱いシャワーが凛帆のカラダから滴り落ちる。
が、流しても流してもカラダに沁みついた潮の香りは落ちなかった――――――





――――リビングにはキャンドルが灯り、フランスから脩二と一緒に到着したてのシャンパーニュが冷えていた。

「出発前にローストビーフ作って冷凍しておいたんだ、ちょうど食べ頃だよ。」

相変わらず完璧なエスコートだ。



「乾杯!」

シャンパーニュを飲み、脩二自慢のローストビーフをつまみながら、今夜のコンサートの話題になった。

「女性客が多かったな。アイドルのコンサートみたいだったね。」

「えぇ……………」

凛帆は思い切って訊いた。

「…………終曲の……バラード、どうだった?」


「う〜ん………彼にはまだあの曲は早いんじゃないかな?テクニック的にもさ。アンコールのドビュッシーは良かったね。」







その夜。脩二は凛帆を抱いた。


そしていつもの様に呟く…………

「…………ごめん……」



――――――凪いだ瞳が潤んでいた。

凛帆は少し戸惑った後、白い腕を伸ばして脩二を胸に掻き抱いた。



/ 47ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp