第6章 難破
ブルーのカーテン越しに雨上がりの日差しが差し込んでいた。
いつの間にか停電は解消したらしく蛍光灯が間抜けに明るい室内を照らしていた。
脩一の腕の中で目を覚ました凛帆は眩しさに何度もまばたきをした。
のっそりと怠い身体を起こして薄い掛け布団を纏い蛍光灯を消しに立つ。
ベッドの脇には二人の脱ぎ散らかした部屋着が散らばっていた。
「……………ん?凛帆………?」
気配で脩一も目を覚ました。
「……………脩………」
ベッドに腰掛けた凛帆を纏った掛け布団ごと後ろから抱きしめる脩一。
「雨…………すっかり上がったな。」
凛帆の細い肩に顔を埋めてくぐもった声で脩一は囁いた。
それから――――――
凛帆と脩一はZ町で逢うたびに貪る様に求めあった。
さすがに白昼狭い町内では憚れ、数十キロ離れた別の町の街道沿いのホテルで――――日が落ちた時は大胆にもあの廃校の隅に車を停めて―――――
週末は凛帆のアパートに必ず脩一はやって来た。
さながら嵐の中難破した船の様に二人は行く先も知れずに情欲の海を漂っていた――――――