第3章 廃校のバラード
――――夕暮れのZ駅前。
「疲れてるのに引っ張り回しちまって悪かったなあ。」
「いえ、楽しかったです。ありがとうございます、お義兄さん。」
「お義兄さんは照れくさいから『脩』でいいよ、『脩』。皆そう呼ぶし。あと気楽に話してもらっていいからな?」
「脩………さん。」
「そー!あとこれからこっち来る時は連絡くれよな。運転手してやっから。」
「あー実は私、車の運転あまり得意じゃないから助かる!」
凛帆と脩一は、何の気なしに連絡先を交換して別れた。
凛帆は脩一の豪快で飾らない人柄を好ましく思った。あと、ピアノにあんな風に素直に感動を表してくれたことが………嬉しかった。