第1章 一粒、···雨
口端からツーッと、唾液が零れた。
あぁ、-···もう無理。
とうとう私は、口内に溜まった唾液を一気に飲み干した。
「···ぅっ、ゲホッ、ゲホッ」
私が少し噎せてしまうと、夏油くんは私が飲み切れなくて口の端から零れた唾液をペロリと舐めた。
「少し零れてしまったけど、ちゃーんと飲めたね···」
「···夏油くん、も···私」
「言っただろう?私は君の全てを奪うと···そうだね、飲み込めたご褒美を君にあげよう」
夏油くんは私を見つめた後、大きな手のひらで私の頬を包み額に口付けをした。
それが呪術だったのかは分からないけれど、体の中にピンッと糸を貼られたかの様な感覚が走り体の自由が奪われた。
(やだ···体が動かない!)
必死にもがこうとしても動けない私を見て満足そうに笑う夏油くんは、あろう事か私の脇に顔を埋めた。
秘部を見られてるわけでも、胸を見られてるわけでも無いのに、わなわなと羞恥心に襲われる。
「きゃあっ!ちょ、ちょっと夏油くん!?」
「ん、何だい?」
「そこで···何するつもりなの···?」
「何するも何も···」
「ひゃっ、やだぁ!···や、止めて!」
夏油くんは私の脇の匂いをスンスンと嗅いで、唇を滑らせると生暖かい舌で脇を味わうように滑らせた。