第2章 好き、だから
何が、今起きてるのか全く理解できなかった。
「我慢できなかった」
「…っ!」
あどけない顔で笑う梅ちゃん。
私が好きだった笑顔――。
でも今は、その笑顔を見るだけでギュッと心が痛い――。
「こんなこと、もう止めて」
「どうして?俺は「…人が居るから」
梅ちゃんの胸を押し返しながら、目の前の梅ちゃんを見上げた。
「今、付き合ってる人が居るからこういう事やめて…」
「えっ、待って―――」
本当はこんな形で言いたくなかった。
でも、前に進むには梅ちゃんときちんとお別れをしないと…――
「梅ちゃんとは、これっきりだから」
梅ちゃんの腕を振り払った。
ごめんね、梅ちゃん…――
梅ちゃんに背を向けて歩き出した。
引き止められたら…
でも、梅ちゃんは私を追ってくることはなかった。