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-Short Dream Story Collection-

第1章 【呪術廻戦 合同リレー夢】「思い出は薄氷の上に」夏油傑










少し、動けそうだ。



ここに来てずっとベッドの上で過ごしていたが、身体を起こした時の痛みはだいぶ引いた。

横になっていても、気持ちが落ち着かなくてはベッドから降り、少し足を引きずりながら部屋の外に出るドアに向かった。



がドアノブに手を伸ばした時に、ちょうど良くドアノブが動き扉が開いた。

が顔を見上げると、袈裟姿の夏油が部屋に入る所だった。


「あ…夏油さん……。」


少し驚いて奈緒が夏油を見上げると、夏油は眉をひそめてを見下ろした。



「…君は本当に先輩の言う事を聞かないな。」

「え?」



まるで何度も嗜めた事のある話し方で、夏油はため息を吐きながら言った。

そしてを両手で抱き上げると、そのままベッドに向かって歩いて行く。



「うわっっ夏油さんっ!」

一方は、急に横抱きに抱き上げられて、情けない声を出して夏油の着物の裾を慌てて握った。



せっかく頑張ってドアまで向かったのに、簡単にベッドの上に再び寝かされる。



急に男の人に抱き上げられた事に、奈緒の心臓は跳ね上がっている様だ。

赤くした顔を手で覆っているに、夏油は柔らかい物腰で声をかけた。



「…せめて呪力が戻るまでは、ベッドで過ごすといい…ここには硝子の様に反転術式が使える者が居ないから、呪霊から受けた呪いは自分で治すしかない。」


そう言って、大切にの体を寝かせた腕はすぐに離れた。



何だろう……。

私はこんな風に声を掛けてくるこの人を、知っていると思った。



全然記憶は思い出せないのに、こんな風に自分に接して声を掛ける夏油を懐かしいと思った。



そして同時に、胸が痛いくらいに締め付けられて、切なく…やらせない気持ちが溢れてきた。


「退屈なら、菜々子と美々子をこの部屋に来させるから。」

そう言って夏油はのベッドから離れようとした。

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