-Short Dream Story Collection-
第1章 【呪術廻戦 合同リレー夢】「思い出は薄氷の上に」夏油傑
「さぁ…皆の所へ行こう。」
「あの…夏油さん……」
「さん…君が何か…話をしたいっていうのはわかっている。…急ぐことはない…食事の後でゆっくり話をしよう。」
夏油はの目を見て、聞きたいことがあるのに我慢をしているように見えた。
状況から言っておそらく、さっき話をしたことだろう。
記憶のない彼女からしたら、混乱させるには十分過ぎる話だった。
だからこそ…今ここで簡単に終わらせられる話ではない。
「はい…わかりました」
は夏油の言葉に頷き、一緒に食堂へと向かう。
「お姉ちゃん!
どこ行ってたの!?」
「具合悪そうにしてたからっ…
部屋に行ったら…いなくてっ…心配してたんだよ…!」
広い食堂へ入ると一目散で美々子と菜々子がに駆け寄ってくる。
が急にいなくなってしまい、心配していたのは2人とも涙腺が緩み今にも泣きそうな表情から伺える。
「ごめん……ごめんね……
心配…たくさんかけちゃったよね…」
は美々子たちの背丈に合わせて屈み、2人を安心させるように頭を撫でる。
夏油さんだけじゃない。
美々子ちゃん、菜々子ちゃんもこんなにも私を心配してくれている。
私の居場所はやっぱりここなんだ。
は自分に抱きついている美々子たちを見てそう悟った。
だからこそ…夏油さん、美々子ちゃんたちの話をきちんと聞かないといけない。
でもそれは今じゃない。
は『話をすること』は一旦考えないようにし、純粋に家族との夕食に舌鼓を打った。