-Short Dream Story Collection-
第1章 【呪術廻戦 合同リレー夢】「思い出は薄氷の上に」夏油傑
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「菅田さん、次の猿は?」
「次ですか?次は呪いを集める猿ですねー。」
「ええー………今日はもういいかな……。」
盤星教が残したこの建物が夏油の資金源だった。
呪いを運んでくる猿。
お金を運んでくる猿。
がここには集まる。
それだけの為に、夏油は非術師と面会する。
それ以外では、夏油は極力非術師とは接点のない生活をしているが、それを他の家族に促す事はしていない。
「げとう〜さま〜。」
夏油を見つけて美々子と菜々子が駆け寄って来る。
その2人を見つけると、夏油はいつもの様に微笑する。
「おかえり、ここは猿共が来る場所だから汚いよ。」
近付いて来た美々子と菜々子の頭を撫でながら、夏油は優しく言った。
そして、その後ろに居るに目を向けるとまた優しく微笑む。
「少しは気分転換になったかい?」
そういつもの笑顔を話しかけてくる夏油に、は顔を顰めた。
優しい笑顔で人を猿と言う夏油に目眩がする。
「夏油…さん……。」
喉の渇きは治らず、声が掠れて出ている様だった。
真っ青な顔をしているに、美々子が心配そうに服の裾を掴んだ。
「いっぱいサルが居る所行ったから疲れちゃったー?」
無邪気な顔で笑いながら……そして今はを心底心配しながら、人を『サル』と呼んでいる。
その事実に思わずは足元がふらついて額に手を添えた。
夏油は一瞬目を細めるが、すぐにいつもの表情を作った。
「それは大変だ。すぐに休んだ方がいい。」
そう言っての肩を支える様に掴んだ。
夏油の手に、は顔を上げた。
「部屋まで送るよ。」
優しいその眼差しに目が霞むのは涙が出たからだ。
そして、のその涙の意味を分かっていながら、夏油はの顔を隠す様に3人から離れた。