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-Short Dream Story Collection-

第1章 【呪術廻戦 合同リレー夢】「思い出は薄氷の上に」夏油傑




だけど、夏油に見つけて貰った。

大丈夫だと、自分は正常だと教えて貰った。
そして連れて来て貰ったこの場所には、自分の様な人間が『当たり前に』居た。



そう…、は夏油が見つけてスカウトで高専に入った生徒だった。
だから余計にの事を夏油は気にかけていた。



自分が導いた道が、彼女にとって苦痛ではないか…。
そんな心配をしていたけど、彼女はいつもその場所で笑顔で過ごしていた。



毎回夏油に、自分の居場所をやっと見つけたと。
その笑顔はいつも輝いていた。















「私は呪霊?に食べられて死ぬ所を夏油さんに助けて貰いました…。」



の声で、夏油は思い出から醒めるようにの顔を見た。
昔と同じ顔で、何度も自分に感謝の言葉を言うに、夏油は目を細める。



「私は、この場所以外に何も分かりません…。
でも、夏油さんと、美々子ちゃんや菜々子ちゃんと一緒に過ごしている今の時間は、とても好きです。

………ここに……居させて貰えないですか?……。」



の切実な訴えに、夏油の顔が少しだけ歪んだ。



それでも……私は君の『居場所』が何処だか知っている。
私が君を見つけてこの世界に連れて来たのだから。



「…夏油様……。」


今度は菜々子が不安そうに夏油の袈裟を掴んだ。
その背後には美々子も同じ表情で、夏油の答えを待っている。
そして、全く同じ顔で自分を見る奈緒に、もう一度目を向けた。



「…………さんが好きなだけここに居ればいいよ。」



『ここはもう君の居場所だから。』


最後の言葉は声が出なかった。
居場所が出来たと喜んでいたあの頃のの笑顔が、夏油の頭に過ったからだ。


それでもは夏油の言葉に、あの時と同じ笑顔を向けた。


「やったね!!お姉ちゃん!!」

「うん。」


美々子と菜々子が嬉しそうに奈緒に抱き付くと、も2人を抱き返した。
その3人の姿を見て、夏油は少し笑って…。そしてやはり目を伏せた。

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