第13章 エピローグ
千尋と血の繋がりがないことを知ってから年が明け春の温かさを感じる3月になっていた。
千尋と初めて会ってから1年が過ぎていた。
今年の桜の開花もいつになく早いとテレビで言っていた。
また、春の香りが漂ってくる。
そう、あの沈丁花の香りだ。
この沈丁花の香りがすると千尋を思い出す。
去年の今頃は千尋とこんな風になるとは思ってもいなかった。
正に、青天の霹靂だったのだ。
僕たちは年明けの1月にハワイで挙式を挙げた。
エディと裕美と僕たち4人だけの結婚式だ。
実にこぢんまりとした結婚式だった。
僕らは結婚したけど結婚は人生のゴールではないと僕は思う。
結婚とは人生の新たなスタートなのだ。
僕は誕生日が来て26歳になっていた。
千尋も誕生日が来て21歳になっていた。
お互い誕生日は12月だったのだ。
結婚しても、今までとは変わらない生活だ。
千尋は家事を良くこなしてくれた。
僕は相変わらずアパレルショップで働いている。
悪友の誠に千尋とのことを話した。
「誠、実は僕と千尋は血は繋がってなかったんだ…」
「え!?そうなのか!?」