第11章 day8 荼毘 死柄木弔
荼毘side
「荼毘‥トゥワイス‥早かったな」
「おー!すぐにヒーローに見つかってな!最悪だったわ!早く帰れて最高!」
思っていたよりも早くヒーローに目をつけられて
早々に切り上げて帰ってきたところスピナーが話しかけてくる
「ボスは?」
「さぁ?部屋でゲームでもしてるんじゃないか」
「風呂入ってくる」
一時的な隠れ家にしているビルの中
申し訳程度についている小さなシャワールーム
さっと身体と髪を洗って服を身につける
適当にタオルで頭を拭きながら
いまだ不完全燃焼な
苛立つ気持ちを少しでも紛らわそうと携帯を開く
GPSでヒーリングガールの居場所でもみてやろうと思って軽い気持ちでみたが
ピンが示している場所は今まさにここだった
「‥は?バグってんのか‥?」
一度電源を切って再起動させてみるが結果は同じ
全く同じ場所を指し示している
「まさかこのビルの中に?ヒーロー達にバレたか?」
奇襲をかけられたのは前回が初めてではないから
今回もヒーロー達に俺達の居場所がバレたのかと思ったが
ボスの部屋から聞こえてきた聞き覚えのある声に身体がぴくりと反応する
『んんっ‥‥』
甘い声色
あの日の記憶と重なる
まさか?あの女に興味のなさそうな死柄木が?
考えるよりも確かめたほうが早い
ノックもせずに扉を開くと
今まさに死柄木と身体を重ねているヒーリングガールの姿が視界に入る
『っ?!』
「荼毘‥帰るのは明日じゃなかったのか‥?」
「予定が狂ってな‥それよりなんでここにコイツがいる?」
ベッドの上で死柄木に組み敷かれている綺麗な裸体
乱れた柔らかな髪に
紅潮した頬
愛おしそうに死柄木をみつめる瞳
ふと感じる違和感にずかずかと距離を詰める
『弔くんっ‥ねっ‥なんでとまっちゃうの‥っ』
続きを急かす
強請るような甘ったるい声
あの日の拒否するような仕草が一切なくて
違和感の正体にすぐに気付いた
「薬か?コンプレスの仕業だな‥?」
「バレちゃしょうがない‥」
『んぅっ‥‥』
俺に見せつけるように唇を交わして死柄木がにやりと微笑んだ