第10章 day7 死柄木弔
相澤side
「ご協力有難うございました‥行くぞ緑谷」
「はいっ!」
その後すぐに店を後にして以前山火事のあったあの山へと他のヒーロー達と共に向かった
「確かに‥最後にここにいたのは間違いなさそうだな」
今にも人間の言葉を忘れそうなほど怒りに血管を浮かび上がらせたハウンドドッグが眼光を鋭く光らせて辺りを嗅ぎ回る
「ただ‥ここでぷつりと途切れてる」
「やっぱり拉致‥か‥ここから瞬時に連れ去る事の出来る個性の持ち主」
林間合宿の時の出来事が頭をよぎる
ヴィラン連合
荼毘
綺麗な身体についた無数の痕を思い出すと吐き気がする
「とにかく早く居場所を見つけ出して‥」
サーチは使えない
匂いも途切れている
辺りには防犯カメラもない山の中
「クソっ‥‥」
早く助けたい気持ちばかりが先行して
冷静に考えようとするのに心臓がバクバクと大きな音を立てる
また前みたいな事になっていたら?
最悪の考えばかりが浮かんで頭の中が全く整理できない
強く握った拳からは血の気が引いていく
「何か探しものでもしてたんですかね‥?他に救助者がいた形跡もなさそうとの事ですし‥よっぽど大事なものだったんでしょうか‥」
同じく青ざめた顔をした緑谷がぶつぶつと呟く
「探し物か‥」
時計の針が無情にもカチカチと音を立てて時を刻んでいく
夜明けまで後数時間
「先生っ‥相澤先生っ?!電話‥また鳴ってますよ!」
「え‥あぁ‥‥ホークス?」
緑谷に大きな声で呼びかけられてふと携帯を見るとまたホークスからだった
「何か進展ありました?」
「あぁ‥最後にいた場所は分かりました‥以前山火事の時に救助にあたっていた現場で‥何か落とし物を探していたんじゃないかと‥わざわざ山の中まで探しにくるくらいなので大事なものだと思うんですが‥」
「山の中‥大事な落とし物‥そうですか‥また何か進展があれば連絡待ってます!」
一瞬ハっと息を呑んだように聞こえたがホークスはすぐに電話を切った
その後は駆けつけてきた他のヒーローや警察達と懸命に行方を探る
「頼む‥無事でいてくれよ‥」