第1章 1 ./ side . A
「ただいま、かず」
今日分のPV撮影を終え、俺たちの愛の巣に帰宅。
案の定部屋は全て真っ暗でかずはもう寝ている事が分かり、少し寂しい気持ちになる。
……とは言っても、17時にスタートした撮影は順調に進んでいき、
『相葉くん、俺のせいでにのに会うの遅くなったらごめんね』
と言い残して行った、4番目に撮影の翔ちゃんまで21時前に終わり、
『あいばきゅ~ん!!がんばどぅえ~っす!!』
と、変なテンション何気なく応援され
22時には帰ってかずを愛でるつもりで挑んだ俺で大幅に撮影が長引き、
『相葉さん終了です』
と言うスタッフさんの嬉しさが少し現れた言葉が聞けたのは、夜中の2時過ぎだったのだから仕方がない。
「ごめんね、かず」
俺の声がやけに響くリビングの電気スイッチを押す。
……と、
「ぎゃぁーっ!!!」
「まぁくん……」
寝ているとばかり思ってたかずが目の前に立っていて翔ちゃん並みの奇声を発する。
かず俯いてる…寂しかったのかなぁ
「どうしたの…?
起きてるなら 返事くら……
………………かず?」
顔上げて俺を見つめるかずを見てぎょっとする
「おい、かず、どうした」
かずの顔は真っ赤になって目が腫れていた。ずっと泣いていたのだろうか
荷物を投げ捨てかずを抱き締めるが、
「……ばか」
そう呟いたかずは俺を突き飛ばした。
予想外の出来事に対応できず思い切り背中をドアにぶつける
「痛っ……」
かずの顔を見るとしまったと言う顔をしていて身体が小刻みに震えている。
「かず、どうしたの
俺、悪いことした…?」
慰めるように優しく言葉をかけると
「……まぁくんの馬鹿!!ばかばかばかばか!!信じらんない!!
そうやってとぼけるんだね!?
まぁくんの浮気者っ!!」
「まって…!!」
バタンと玄関が閉まる音が聞こえる。
「かず……」
すり抜けた君の残り香と携帯が虚しく宙を舞った。