第2章 甘く暴かれる夜
花嫁の証を見せて欲しい。
言われた瞬間に私は唇を塞がれた。
縫い付けられていた手首には、いつの間にか魔法で出来た鎖が巻き付き、拘束されてしまっていた。
(えっ、うそっ···!)
「俺の名はエアデール・ゴールドバート···、これからはエアデールと呼べ」
「んぅっ──!!」
動けない事をいい事に、顎に手を添えられエアデールの柔らかい唇の感触が伝わって来て身を強ばらせた。抵抗しようとしても、手首に絡まった鎖が邪魔をして出来ない。私の唇の感触を味わうように何度も啄み唇を舐められ、なすがままに息を止め続けたまま私は耐えていた。
「んん、ッはぁっ···んぅっ!」
呼吸をずっと我慢していたせいか、限界を迎えた私は薄く唇を開いた。隙を狙った様に途端にエアデールの熱い舌が唇を割り入って来る。されるがままに、歯列をなぞられ口内を撫でられ舌を絡められた。
「んくっ、はぁ、はぁ···」
口の中に溜まった互いの唾液が混ざり合い、息をするために私はそれを飲み込んだ。喉が、身体が熱を持って熱くなる。初めてのキスであんなに深いのは···。頭がぼーっとして、力が抜けてしまった。
「はぁ、···ん、は。鼻でゆっくり息をするといい」
「はぁ、はぁ、今、それを言いますか」
「いや、まさか初めてだとは思わかなったからな」
(···、失礼過ぎる。どうせ付き合った事も無いような喪女ですよ)
「そんな顔をするな。···出来るだけ優しくしよう」