第2章 幼き日の約束
木の葉が鬱蒼と茂って、木漏れ日が少しだけ見える森の中。2人の少女がどこかへ向かって歩いている。
「危なかったね。アユナ」
アユナと呼ばれた長い黒髪の少女はスキップ気味に少し前を歩くポニーテールの少女を見て、ため息をついた。
「ミーウ……また、マシュラに怒られるよ?」
ミーウはアユナを振り返って、にこりと笑った。ーーミーウは人と話す時、人の目をしっかり見て話をする。
「わたしはもう慣れたから気にしてないよ。怒られるのが嫌なら、わたしと一緒に来なきゃいいじゃない」
「わたしはシェルミー様とメアリー様にミーウと一緒にいてほしいってお願いされたから、言う通りにしているだけよ」
ーー本当は違う。アユナはミーウの守り役という使命があるから一緒にいるのだが、それをミーウに伝えてはいけないのだ。ーーこれはアユナの運命であり、ミーウの一族とアユナの一族の“契約”だった。
「それに……」
(あの人に会えるし)
ーー6歳年上の初めて恋をした人に。
「それに? 何があるの?」
ミーウは立ち止まって、後ろを向いて首を傾げている。
アユナは苦笑いを浮かべた。ーーミーウはとても鈍感だ。だから、アユナの気持ちを知らないでいる。