第54章 13人の超新星
ーー場所は変わり、とあるバー。
1人の赤髪の男が仲間と共に、酒を嗜んでいた。赤髪の男はガラスに注いだ酒を一口飲むと、テーブルにグラスを置いて、少し離れた場所で酒を飲んでいる男を見た。
「あのアホ面、誰だ」
「ああ、ありゃ“海鳴り”ですね」
男の部下は船長に聞かれた人物の二つ名を答えた。
“海鳴り”と呼ばれている男が赤髪の男を見る。2人はしばしの間、睨み合っていた。
「チッ」
ーー赤髪の男が舌打ちをし、“海鳴り”が右手の中指を立てるまでは。
「フンッ」
赤髪の男は立ち上がった。
「頭!」
男の部下が止めに入るが、もう遅い。
「ヒヒッ」
男は両方の口角を上げた。そして……。
ガッシャーン!!!
「うわーーー!!!」
“海鳴り”に向かって能力を発動させ、建物を破壊した。爆風が辺りに吹き荒れ、外にいた人々は叫び声を上げる。
煙の中から、中華風の服を着た男がクルクルと後ろに宙を回転しながら、飛び出て来て地面に華麗に着地する。
「よっと」
辺りにいた人々は騒めいたり、逃げ回ったりしている。
「何だ? 喧嘩か?」
商人らしき男がその様子を目を丸くして見ている。
中華風の服を着た男は体の前で長い両腕を構えた。