第42章 知られたくなかったこと
店を出た後、ミーウとエースは並んで船へ向かって歩いていた。ミーウは老人から貰ったロケットペンダントを見つめた。
「どうした? ミーウ」
「ん?」
ミーウはエースの方を見た。
「なんかね……不思議な気持ちなの……」
「不思議な気持ち?」
「うん……」
ミーウは手のひらに乗せたペンダントを握り締めた。
「エースとは今日、初めて出会ったはずなのに……今日1日一緒に過ごして、前にも会っているような気がして……」
ーずっと前から、知っている気がする。
「……」
エースは黙って、ミーウを見ている。
「エース……わたし、どうして思い出せないんだろう……?」
ーあなたは覚えていてくれているのに……。
「ミーウ」
エースは隣で歩いている少女の名前を呼んだ。
「大丈夫だ。お前がまた忘れたとしても、おれが絶対に覚えてる」
エースは安心させるように笑った。
「それに、今度は大丈夫だろ?」
エースはミーウの手を包み込む。ーー中には、ロケットペンダントが握られていた。
「……うん」
ミーウは目を細めて笑った。
(大丈夫)
ーこれがある限り、あなたを忘れることはない。
「さあ、行こうぜ。すっかり遅くなっちまった」