第33章 それぞれの想い
アユナたちは船に帰った後、すぐにミーウの手当てを始めた。ーーミーウの傷は出血が酷く、しかも骨が何か所か折れていた。アユナの能力で治したが、意識は戻らないでいた。アユナが言うには、移し身を使った影響でしばらくは目覚めないとのことだった。
「……」
スレイジはアユナの手当てが終わってから、ベッドで寝ているミーウをずっと傍らで椅子に座って見ていた。ーーいつ、目覚めても大丈夫なように。ミーウが寂しくならないように。
ーースレイジたちがミーウとキッドのところに着いたのは、ミーウがちょうど移し身を使おうとしていた時だった。スレイジはミーウがキッドに何をしたかはわからなかったが、ミーウが倒れた瞬間、無意識にミーウの名前を呼び、そばに行っていた。
ー次、てめェがミーウを傷付けて無理させたら、おれがてめぇを倒す! 覚えておけよ。ユースタス・キッド!
そして、怒りで気が荒くなっていたスレイジはキッドにそう言った。
スレイジはそれを思い出して、ため息をついた。
(……自分で言うのも何だが……かなりこいつに惚れてるな)
「……ミーウ」
そう言って、スレイジは優しく笑った。
「早く起きろよ。みんな心配してんぞ」