第4章 すれ違う心
夜、アユナはミーウの部屋の前に来て、大きなドアをノックした。
「ミーウ、いる?」
「……いるよ」
アユナは息を吐き出して、ホッとしたように息を吐いた。ーー今、ミーウはとても大きな傷を負っている。体にではなく、心に。それは7年前のある出来事によって。その時からずっと周りの人に心を閉ざすようになってしまった。
「……ミーウ、入るよ」
アユナはミーウの部屋の中に入った。
1人部屋にしては大き過ぎる部屋で、ミーウはこれまた、1人にしては大きいベッドに座っていた。
ーー7年前の出来事から、ミーウは自室に籠ることが多くなった。時間になったら大楠に行き、いつもと変わらずにキッドとキラーと話しているが、家に戻るとこの状態だ。海軍元帥のセンゴクもミーウのこの状態にはとても手を焼いている。たまにミーウの事情を知っている海軍の将校を“竜国島”に派遣して、どんな様子か見に行かせているくらいだ。ーーセンゴクはミーウのことを孫のように可愛がっているのだ。
「ミーウ、そろそろキッドとキラーと会う時間だよ」
アユナの言葉を聞き、ミーウは壁にかかっている時計を見た。
『今日の夜、9時にミーウはここに来い。おれがいるから、声を掛けろ。アユナは東の浜辺に行ってくれ。キラーがいる。2人に大事な話がある』