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愛欲と追憶の日々

第13章 タカシ



私は、本気でやめて欲しいと思っていた。
もうこれ以上、私の身体を犯すようなことはして欲しくなかったのだ。

「た、タカシ、や、やめてぇ…」
「なら、俺のことは諦めろ…」

そう言うと尚もピストンを繰り返してくる。
ジュポジュポとペニスが出し入れされる時の音が部屋に響いている。

数分間、そのピストンは続いた。
暫くしてから、タカシは私の身体の奥深くへと精子を放っていった。

私は、セックスが終わるとタカシの身体を押しのけた。
すると、タカシはそのまま眠ってしまったのだ。

私は、この時エクスタシーは感じていなかった。
ただ、レイプされたという感触だけが身体に残っていたのだ。



翌朝、タカシは私のベッドの上で目覚めると洋服を着て何もなかったかのように帰ろうとしていた。
玄関先で彼の背中を見ていた。

「じゃ、俺、帰るから…」
「ええ、もう、来ないで頂戴…」

そう私はタカシに言ったのだ。
タカシは何も言わずに私の家の玄関のドアを開け出て行った。

私はこの時、昨夜の彼の言動が気になっていた。

(何故、俺のことを諦めろ…なんて言ったのだろうか…)

そう心の中で私は呟いた。



その日の夜の事だった。
私の携帯の呼び出し音が鳴ったのだ。

誰からの電話かと思い出てみた。
すると、それはタカシからだったのだ。

タカシは電話口で何となくソワソワしている様子だった。
そうして、こう切り出したのだ。

「昨日の夜はごめん、お前が嫌がってるのに無理にヤったりして、済まなかった…」

私はこの話を聞いてかなり驚いてしまったのだ。
あの、ドSのタカシが謝ってきたのだ。

過去に1度たりとも謝ったことなどなかった。
私は、その言葉になにも返事をしなかった。

それだけ言うとタカシは電話を切った。
その後、タカシから二度と連絡が来ることはなかった。

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