第7章 少し長めのエピローグ
「田山先輩!」
私をユウさんのお店に連れてきてくれた前の会社の先輩だった。私よりだいぶ前に転職されている。
「そっか……閉店か……残念だね。この界隈、再開発入るらしいよ。」
「そうなんですね………」
「ところで玲奈、会社辞めたんだって?」
(………うっ、ウワサは速いなあ。)
「はい!今は△社で商品企画の仕事をしてます!」
「やったじゃん!夢叶えたね!」
田山先輩にはいつか企画の仕事をしてみたいって話していた。
「これから時間ある?よかったらメシでもどう?新しい仕事の話とか聞かせてよ。」
「もちろんです!………じゃあ、ラーメンはどうですか?私、豚骨の美味しいお店知ってるんです!」
「豚骨ラーメンか!最高だね!」
「決まりですね!行きましょう!………でも先輩………」
「ん?」
「よく、私だって分かりましたね?」
今の会社は服装が自由なこともあり、私はフリルのブラウスや膝丈スカート、中途半端な3cmヒールを脱ぎ捨てて、カラダにぴったりして胸元の大きく開いたワンピースにつま先の出るダッドスニーカーを合わせていた。
髪型は顎上で切り揃えたボブでパッツン前髪!色は明るいピンクアッシュだ。
何度か前の会社の人とすれ違ったことがあるけど、誰も私だと気が付かなかった。
「………ますます素敵になったね。でもどんな格好していても僕は『玲奈』が好きだよ。」
「えっ!?」
「さあさあ早く連れて行ってくれ!ラーメンと聞いたら急にハラが減ってきた!」
「あっ、はいっ!」
田山先輩と私は肩を並べて、キラキラしたネオンが灯りだした夕暮れの街を歩き始めた。
ーおしまいー