【ブルーロック】HEALER【ミヒャエル・カイザー】
第1章 女嫌いのkisが財布を拾ってくれた日本人に好意を抱く話1
「あの時、あの客がお前を罵倒してコーヒーをかけた時、俺はなぜか腹が立った。これで、俺はハッキリと理解できた」
お前には、まだこの意味は理解できないだろう。でもそれでいい。そうじゃなきゃ俺はここまで来ていないだろう。俺はそこまでお人好しじゃないからな。でも、今なら少しだけあの女の行動が理解できなくもなかった。
「あの時は寒い中待たせて悪かった。貰ったあれもこれも、なかなか美味しかった」
俺よりもひんやりと冷たくなった手を引いて握った。されるがままこの状況に困惑を見せながら女は俺の目を真剣に見つめている。
「俺はお前に興味がある。嫌でなければ連絡先を交換しよう、俺はミヒャエル・カイザー。最近はドイツと日本を行き来してサッカー選手をしている」
女がこくこくと困惑気味に頷いた。あの時差し入れを押し付けて来た元気はどこへ行ったのか、唖然としているのか口を硬く結んだまま目を逸らすことも動くこともない様子に、俺は手を取ったままその場から立ち上がり、アウターのポケットから俺の名前が刻まれた使用済みになっている『関係者用招待チケット入場券01』と書かれた青い紙切れを取り出した。
まだ入場者の名前は空白だ。俺は差し出しながら問いかけた。