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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第1章 【伏黒恵】あなたに聞きたいことがある






その日の夜。
夢の中にいた伏黒は自然と目が覚めた。
時計を確認すればまだ夜の2時を過ぎた頃で。
なぜこんな中途半端な時間に起きてしまったのかと冴えた頭で考えていた。

その時。

どこからか自分の名前を呼ぶような、声が、伏黒の耳に届いた。

「……み、……恵」
「五条、先生……?」

伏黒を下の名前で呼ぶのは高専内では禪院真希か五条悟のみ。
しかし声の低さからすると男のもの。
ということは、もしかしたら担任である五条がなにかしら用があって、自分を呼んでいる可能性が高いと伏黒は踏んだ。

ベッドから起き上がり、部屋の扉を開ける。
しかしそこには誰もいない。
暗い廊下だけが広がっているだけだった。
だけど、自分を呼ぶ声はずっと聴こえている。

「なんなんだ……」

不審に思いながらも、名前を呼ぶ声が聞こえる方へと歩を進めた。
高専を出て、敷地内の山の中。
その奥の方まで、伏黒は歩く。

こんな山奥から、彼の部屋まで声が届くはずがないという疑問を抱くこともなく伏黒はただただ声のする方へと歩き続ける。

「聞こえてるよ、なんだよ」

近づいてくる声に、答えるように。
伏黒は声を出した。
がさがさと草木を分けて何かがやってくる。
いつでも式神を出せるように構える伏黒の前に一人の男が姿を現した。



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