第5章 愛しい君。
の涙を流す顔を見てやっと冷静になった。
ただの嫉妬だった。
なのに俺はに八つ当たりをした。
彼奴を怖がらせた。
情けない。
"私は中也が好きだよ。"とキスをされる。
堪らなく愛しくなる。
優しく微笑むに心が締め付けられる。
「悪かった、怖かったよな。」
首を横にふる。
破いたシャツの隙間からは俺がつけた印がハッキリと見える。
うち数個は内出血になってるほど、痛々しいものだった。
自分でも呆れるくらい、のことになると我を忘れる。
「今日は疲れただろ、早く寝ろ。報告書は明日手伝ってやる。」
そう云い、の上から下りようとする。
突然手を掴まれる。
「どうした、、!?」
の目からは溢れるほどの涙。
「悪い、痛かったか?」
慌てて謝る。
『ち、がうの。』
の言葉に耳を傾ける。
『中也、私は汚い、、、?』
の言葉が頭で木霊する。
意味が判らなかった。
「何云ってんだ、手前は汚くなんかねぇよ。綺麗だ。」
『じゃあどうして抱いてくれないの、、?』
その言葉で理解した、は俺が手を出さないのは自身が汚れていると思っているからだ。
俺が手を出さなかったのは大切にしたかったから。
否、本当は不安だった。
もしその行為をして、あの地獄のような時の記憶を思い出させてしまうのではないかと。
それに好きな女を抱くこと自体初めてだから
を満足させてやれるかと不安もあった。
なんせ女を抱くこと自体久々だから。
に片思いをしているを自覚してから女を抱くことを辞めた。
女を抱く行為も糞太宰に揶揄われたからというのが理由だった。
なんの感情もない。
「、不安にさせて悪かった。手前に手を出さなかったのは、大切にしたかったから。」
『大切に、、、?』
「ぁあ、大切にだ。糞太宰のように女にすぐ手を出す奴が男だと思うな。」
『そ、そんなこと、、、。』
「手前の口から聞きたい、俺が欲しいと。」
の顎を掴み、上を向かせる。
『中也が欲しいの、、、。私を抱いてくれる、、?』
「姫の仰せのままに、、、。」