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氷が溶けるまで。【中原中也】

第21章 氷が溶けるまで。


『ッ此処は、、、、?』

真っ暗闇の世界にいた。
凍える寒さの中、私は1人だ。

"目覚めろ、本当のお前の力を見せつけてやれ"

頭の中で声が聞こえる。

知らない人の声だ。

みるみる身体の体温が下がっていくのが判った。

身体を動かすことすら出来なくなり、その場に座り込んだ。


『た、すけて、、中也、、、』


「っ!!!こっちだ!」

中也の姿は見えない、だけど声だけはハッキリ聞こえた。

「っ!っ!」

中也の言葉でほんの少しだが、身体に力が戻った。

なんとか立ち上がり、声のする方向へ歩いた。

「っ!戻ってこい!!!」

歩みを進めると小さな光が見えた、中也の声は底からした。

小さな光はどんどん光が弱まってきている。

早く行かなければ、、、


あと数メートル、、、、


そこで私の身体は限界を迎えてしまった。

もう立ち上がれない。

光は消えてしまった。


私は1人、、、、。

『中也、、、、』

もう一度、優しい声で名前を呼んで欲しかった。

もう一度、抱きしめて欲しかった。

もう一度、キスをして欲しかった。

もう一度、、、、、

『笑った顔が見たかった。』



「ー!!!!」

中也の叫び声に近い声が響いた。

その瞬間まばゆい光と共に手を引かれた。


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