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氷が溶けるまで。【中原中也】

第16章 秘密


「今更なんだが、手前は本当に俺でいいのか?俺は、、、」

『中也が善いの。だって中也は中也でしょ?』

「ありがとな。」


中也にもある秘密があった。


-----6年前

「俺は人間じゃねぇかもしんねぇ。」

『どういう意味、、、?』

俺は異能と既存の生物を組み合わせる『人工異能』の研究により生まれた。

自身は器でしかない。
自身のせいで仲間が死んだ。

どうしても耐えられなく、に溢してしまった。

は黙って俺の話を聞いてくれた。

別になにか言葉が欲しい訳ではない、ただ聞いて欲しかっただけだ。


『でも中也は中也でしょ?』

突然のの言葉に驚いた。
は今まで自身から言葉を発したことはなかったのだから。
それと同時にの言葉が心に響いた。

俺は俺。

はそう云ってくれた。

目頭が熱くなった。
帽子で顔を隠し、を抱き締めてしまった。

突然のことにはビクッと少し身体を揺らしたが、大人しく俺に抱き締められていた。

『寒い、、?』

泣いていることはバレていないが、身体が震えているのは判っているようだ。

俺が寒くて震えていると可愛い勘違いをするは俺の背中に手を回し軽くさすってくれた。

記憶を失くしても、やはりはだった。

それが嬉しくて堪らなかった。

「少しな、、、。もう少しのこのままでいいか?」

『うん。』

この日以来、は少しずつ自身から言葉を発してくれるようになった。

そして俺はの言葉のおかげで前向きになれたのだ。


----現在

「手前がいなかったら、今の俺はいない。だから一生俺のそばにいてくれよ?」

『うん。中也もずっとそばにいてね、、、?』

「当たり前だ、絶対に離れてやんねぇ。」

再び中也に押し倒される。

『中也、、、?』

「やっぱり1回じゃ足んねぇ。」

流石はマフィアといわんばかりの悪い笑を浮かべながらの唇を奪う中也。


そんな中也に大人しく食べられるであった。


中也の秘密を知っているのは太宰と森だけ。

然し、2人とも判っていることがある。

それは中也は"人間"であるということだ。



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