• テキストサイズ

雪月花【鬼滅の刃/短編/R18】

第2章 しりとり【不死川実弥】




─────つかの間の休息。

「ねぇ、実弥さん。しりとりしない?」

居間でくつろいでいたら、円華が唐突にそんなことを言いやがるから、おはぎを持つ手が口の前で止まっちまった。

「あ?なんだァ、急にィ」

「し、り、と、り!はい!実弥さん、"り"からね」

俺の隣で楽しそうにする円華を横目に、仕方なく付き合う事にした俺は頬杖をつく。

「…律儀」

「ぎ、ぎ…あ!義勇!」

「…名前っていいんかァ?」

「いいに決まってるじゃない!はい!実弥さんの番!」

しりとりの何が楽しいのか分からんが、円華に吊られて口元が緩む。

「う、ねェ…うるさい?」

「…なんで疑問形?別にいいけど…居間!」

「間抜け」

「け…け?んー…蹴落とす!」

「誰をだよ」

「ふっふっふ、ほーら、す!」

ふざけて含み笑いをする円華の長い髪先に手を伸ばし、指先でクルクルと遊びながらしりとりを続けた。

「…すばしっこい」

「…い、いー…伊黒!」

「…お前、俺しか居ねぇからってさっきから呼び捨てたァいい度胸だなァ」

まァ、円華相手なら誰もが許しちまうんだけどなァ。

「え!?そんなんじゃないよ!?さん付けしたら"ん"になっちゃうんだもん!…というか、実弥さんのしりとりおかしくない?」

やっと気付いた円華の頭をくしゃくしゃに搔き撫でた。

「何もおかしなところなんてねェぞ。
律儀で、
うるさくて、
間抜けで、すばしっこい。」

「え、何それ。何か嬉しくない単語ばっかり」

顔を顰め口をとがらせる円華の唇を奪い、視線を合わせると途端に赤くなる円華。

「お前の事だろうがァ。ばーか」

「んな、っ、え!?…実弥さんのすけべ!!」

何処にすけべな要素があったかは知らねェが、文句を言う円華を他所に、俺はおはぎにかじりつく。

「…円華。夜、覚えとけよ?」

じろりと円華を横目に睨みつけると、慌てて謝罪してきたがそんな事はどうでもいい。

「寝かせてやんねェ」

「いーやー!ごめんなさいー!」




─────翌日、円華は任務を休んだ。



2024.6.27
Fin
/ 33ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp