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~たゆたううたかた~【禪院直哉/R-18/短編集】

第5章 ごっこ遊び 【禪院直哉】



『何でぇな、締め出さんといてぇや。
そない怒らんでもええやんか。
結婚するんやったら、
身体の相性めっちゃ大事やんッか!
夫婦なんねんから、毎晩
ズッコンバッコン夫婦生活するんやで?』

大きな声で廊下で喚いているので、
はぁ…っとため息をついて
ガラガラと…一度ロックした
襖を開いて廊下で騒いでいる直哉を
自分の部屋の中に招き入れた。

「廊下の真ん中で…あんな声で
あんな内容を叫ばれたらご迷惑です…。
それに…今日は…月曜日…ですし、
弥生さんが直哉様のお当番の日ですよ?」

『まだ夜ちゃうしええやん…、
夜なる前にちゃんと自分の部屋帰るし。
弥生ちゃんとちゃんとする事するし。
自分等同士が…隣同士の部屋とかに
ならんように部屋の配置したんの
その為でもあるし…、
俺がそれでええ言うたら、それでええねん』

そう言いながら…こっちの膝の上に
自分の頭を置いて…ケラケラと笑っている。

スルッと…下から直哉が手を伸ばして来て
こっちの顔を自分の方へと
引寄せると、唇を重ねられてキスをされる。

この…人に惹かれてしまって、
この人の事を好きになってしまっても。
この人は…どうせ…こんな感じなのだから
私は…色んな女性の影を…
直哉様に感じる度に嫉妬する未来しか
想像する事が出来なくて。

澪さんの様にお勤めと…
割り切れるのだろうかと…
そんな風に…思ってしまって居た。

『澪ちゃんが…俺の事
お勤めやって割り切っとる理由
ちゃんは知っとるん?』

「……え?理由……?
妹さんの桜ちゃんの為…じゃなくて…
いえ…何も…聞いてはおりませんが…」

『躰倶留隊の中に…澪ちゃんの
幼馴染の…男がおるらしいで?
澪ちゃん所…の…両親は…
そいつと澪ちゃん結婚させる気で
両家で話付けとったみたいやね』

せ…性格と言うか…根性…悪いな……。
それを知ってて澪さんを、
自分の花嫁候補に指名して
自分の相手…澪さんにさせてるんだ…。

『でも…こんな話俺がしたら、
優しいちゃんは…
澪ちゃんと桜ちゃんの2人
お家に返したげて…って思うやろ?』

私には…それから逃げられない
許してはあげないと言うのに…
そんな…話をこっちに振って来て。

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