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つよがり いいわけ かわいい子【HQ】

第3章 つよがり いいわけ かよわい子




「ほら、着いたぞ。」

体を揺り動かされ目が覚める。いつの間にかマンション前に止まったタクシーから降りれば、車の心地よい揺れで眠ってしまっていた頭はぽやぽやとしていて思考が定まらない。

しょうがねえな。

柔らかな声と共に浮かぶ体、力強い腕に抱き抱えられそのまま家へと向かうと家の鍵が開かれる。

「まっ、夜久!家今日だめ!」

鍵の開く音でふと思い出した部屋の惨状。暴れるように首を振り家への侵入を拒むがさすが夜久。私の抵抗なんか、いとも容易くねじ伏せ扉を開き中に入る。

…この数週間、なんとか荒れないようにといろんな対策をしたが家のことなど構っていられなくて、机には溜まった郵便物と朝使った化粧品が散乱、台所にはタイミングを逃して捨てられなかったゴミの袋、いつからか開かれなくなったカーテンがかかっているカーテンレールには下着を含んだピンチハンガーやハンガーが並んでいる。脱ぎ捨てたパジャマがわりのTシャツが布団と一緒くた。かろうじてやったドライヤーと髪の跳ねが酷くて使ったヘアアイロンが出しっぱなしの洗面台。

見られてしまったと落ち込んでいれば夜久はそんな我が家を見て大爆笑。

「そんだけ忙しかったんだろ?目の下隈できてるし…痩せた?」

かろうじて綺麗なベッドに座らせられ頬を撫でてくる夜久の暖かさに瞳から再び涙が溢れた。
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