第7章 大切な日 * 緑間真太郎
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それはある日の事。
…キーンコーンカーンコーン……
ハードな学校生活を送るなかで貴重な休息時間である昼休み。
俺にとってもそれは同じ事だ。
だがこの日は……___
高尾「真ちゃーん!弁当食べよー……って、あれ?どしたの?」
いつもの様に弁当を片手に俺の席にやって来た高尾。
緑間「……」
俺も勿論、昼食である弁当を取り出そうと鞄を開けたのだ、が。
緑間「……弁当が……」
高尾「……ん?…って……ブフォッッッ!!」←
高尾は俺の鞄を覗きこむなり、座りこんで腹を抱えて笑いだした。
緑間「…笑い事ではないのだよ…!!」
そう。
本当に笑い事ではない。
なにしろ…
高尾「…どっ、ドシタノ真ちゃんコレ!!弁当、ひっくり返って……ブククッ……!!」
緑間「いい加減に笑うのをやめるのだよ!」
いまだに笑い続ける高尾に苛立ちを露(あらわ)にした俺。
……さすがに高尾も「昼食抜きで残り半日学校生活をおくる男子高校生(部活込み)」を想像したのか、「…ちょっとマズイかなァ…」と顔を曇らせた。
…しかし、本当に困ったことになったのだよ。
昼食を食べなくとも午後の授業はなんとかなるはずだ。
だが、その後の部活が問題なのだよ…
…高尾と共に顔を曇らせていた。
その時だった。
「あの…。これ…」
不意に頭上から声が聴こえ、俺は頭を上げた。
そして、目の前には
高尾「弁当…!」
そう。目の前には弁当が差し出されていたのだった。
だが、素朴な疑問がある。
高尾「えっ、でもこの弁当、ちゃんのじゃねーの?」
「え…あ、ううん、大丈夫!私、緑間くんと違って部活遅くまでやらないし…だから遠慮しないで。」
緑間「だが…」
流石に人の弁当を貰う事は気が引けた。
緑間「…」
断ろうと口を開いた時にはもう既に、は俺の机に弁当を置き、こちらに背を向けていた。
緑・高「…」
残された弁当。
開ける事を躊躇していた俺だったが…
高尾「…わっ…すげェっ!!」
…こいつに開けられたのだよ…!!