• テキストサイズ

【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)

第7章 ※本当の私




『わぁ……』


広い屋上はコの字型になっていて、根っこが見えている大きな木、パラソルとソファ、休憩スペース、あとは…畑?があるのかな。
遠くの方まではよく見えない。



風が涼しくて気持ちいい。



『凄い…空が近いです。』

「おーい、沙良ーー!」

声のする方を向くと、椿さんが休憩スペースのような四角く囲われている場所から顔を出していた。

『椿さんっ…』

思わず駆け寄ると、

そこには

風鈴の幹部の方たちが座っていた。

「沙良君…少し遅いぞ。2分の遅刻だ。」

眼鏡を上げながら言うのは水木さん。

『あっ…遅れてすみません…』

「俺がゆっくり歩いてたんだっつーの。
ったく細けーな、水木はホント…モテねーぞ。」

柊さんが頭を掻きながらドカリと椅子に座る。

「なっ…何を言っているんだ。
細かい事とモテるモテないは関係ないだろう。
それに…時間にきっちりしていた方が、モっ…モテるだろう…」

「お前はきっちりしすぎ…
何事もいい塩梅ってのがあるだろうが。あれ…?梅宮は?」

「ふふっ…今ね、いいもの作ってるの。
沙良もきっと気に入るわ。すっごく美味しいんだから。」

椿さんは私の手を引っ張ると、隣に座らせた。
フワリと甘い香水の香りがして、椿さんの髪がサラっと靡いた。

『椿さんは…いつも綺麗ですよね…』

女子力が高くて、立ち振る舞いが本当に綺麗な椿さん。

そんな椿さんを、羨望の眼差しで見つめた。


「えっ……ちょ、何よ沙良っ!不意打ち!綺麗だなんてそんな、ホントの事言わなくていいのよー!」

バッシーン!と音がする位、背中を思い切り叩かれた。

『いっ…痛っ………』

「おいっ、お前加減しろよ、女の子だぞっ…」

「ごめん沙良っ…大丈夫!?」

『…大丈夫です…』

周りの方がワタワタと焦る中、笑みを浮かべながらスケッチブックに鉛筆をはしらせているのは百瀬さん。

『百瀬さん、学校の絵…見ました。
素敵でした。絵というかデザインと言うか…』

ありがとう…小さくそう言うと、百瀬さんはまた絵を描き始めた。


畑では、同じ1年生の男の子が水やりをしているのが見えた。

『あれ…?杉下君……?』

「ふふっ、杉下は梅の畑、手伝ってんの。
ここの野菜は梅と杉下の野菜ね。」

梅君の野菜…
/ 127ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp