【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第6章 ※恋愛のカタチ
「…元気だよ。アイツもまぁ、元気だ。」
『アイツ…?』
「梅宮…」
『そうですか…良かった。』
「沙良ちゃんさ…」
何か言いたげに、柊さんがこちらを見た。
『……?どうしたんですか?』
柊さんが口を開きかけた時…
「沙良ーー!ここよー!」
上の方から声が聞こえ、見上げると椿さんが屋上から手を振っていた。
『あっ…椿さん……おーい!』
椿さんに答えるようにブンブンと手を振った。
『ごめんなさい、柊さん…どうしました?』
改めて聞くと、柊さんはふっ、と笑い、歩き出した。
「いや…いい。またで…」
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風鈴高校の中は壁に鮮やかな絵が描いてあったり、物が散乱していたり…
学校というより何だか街みたい…
各階からは話し声や笑い声が聞こえてくる。
『ふふっ、楽しそうな所ですね。こういう絵は百瀬さん…?』
「あぁ…そうだな。百瀬の絵が8割くらい…あとは意外に絵が得意って奴もいるからな…そいつらが描いたりとか。
沙良ちゃんは高校来るの、初めてだよな?」
『はい、私の学校の雰囲気と違って…活気があります。』
「そっか…ここが屋上だ。
梅宮も幹部もここにいる。沙良ちゃん、わざわざありがとな、ここまで。」
重そうな扉を開こうと、腕を伸ばす柊さん。
この扉の向こうに梅くんがいるんだ…
久しぶりで何を話したらいいのかわからない。
梅君…あの時の事は…気にしないでね。
いやいや、なんか上からだ。
梅君…元気だった?
普通すぎるかな?元気だ、で終わってしまいそう。
また会えて嬉しい。
いやいやいや…ストレートすぎるっ……
首を振ったり青くなったり…百面相をする私を見て柊さんが吹き出す。
「ははっ、大丈夫か?沙良ちゃん。」
『っ…はい。久しぶりだから…緊張しちゃって…』
「ありのままの沙良ちゃんでいいんじゃないか。」
『………はい。』
その言葉に、緊張は大分ほぐれてきた。
屋上に繋がる扉がギィ………と開き、外の光が差し込んだ。