第11章 前進
不安だとばかり怯えても何も解決しない
わかっているはずなのに
でも
自分の気持ちに正直でいいんじゃないかって
もう少し気楽でいてもいいかもしれない
この前の件でますますそう思うようになった
私には信頼できる人がいるのだから
勇気を振り絞って
[……じ、条くんと行っていいの…?]
少し声が震えてしまっていて
何度も言うようだけと本当にいいのかわからなくて伺うような形になってしまった
それにどういわれるか怖くて目をつぶってしまっていた
(あ…れ…?手が?)
条くんが私の手を握ってくれていた
目を開けて顔をみてみると意外とそうでもなくて
私の返答に嬉しかったのか今日一番の笑顔で
犬が尻尾でも振っているかのように見える
どうやら杞憂だったようだ
[ もちろんだよちゃん…]
[あんな目にはもう遭わせないから]
[俺が守るよ]
真剣な眼差しを向けてくる
(ああ……この人は)
私に欲しい言葉をくれる
この人がいれば大丈夫だと安心してしまった
[うん……ありがとう]
私はそっと手を握り返した