第9章 吐露Ⅰ
[…っじ、条くん…!?]
大粒の涙が頬を伝っている
間違いない彼は泣いている
まさかそうなるとは思わなくて驚いてしまった
ティシュがテーブルにあったので涙を拭く
[…っ…ちゃん…]
[ごめん……俺……]
[ううんそんなこと…!]
どうして泣いているんだろうか
まず真っ先にそれが浮かぶ
やっぱり聞いていて不快だったんだろうか
様々な考えが出てくる
でも本人にしかわからないし
とにかく涙を止めないとそう思い拭きはじめると
[俺に話してくれてありがとう…]
[辛かったよねぇ………]
(え……………)
逆だ ありがとうなんてお礼を言うのはこっちなのに
それは私がいうべき台詞だ
まさかそんなこと言われるとは思わなくて信じられない気持ちの方が強い
[そ…そんなこと………]
[あ……きゃ……]
違うと話そうとした時唐突に抱きとめられる
ぎゅと力強く安心してとでも言ってるかのように
嬉しかった
その事実に酔いしれそうになるほど
私はこの人に甘えていいんだと実感する
[条……くんっ……………]
また涙が出てきてしまっていて
止まっていたはずなのに感化されたからか押止なく流れる
きっとわたしは誰かにこうして欲しかったんだ
受け止めてほしくて
[ちゃんっ……]
[っ…………うううう]
私は条くんと二人で子どものように泣き出してしまった