第2章 出会いⅠ
「ふううう……疲れたなぁ……」
私はため息をもらしながら銭湯の仕事を手伝っていた。
今日はいっぱいお客さんが来ていたのでクタクタで仕方なかったけどあともう少しで閉めるのでなんとか踏ん張っていた。
[お前な〜 若いのにそんなにへばってどうすんだよ…]
[おじいちゃんそれはそうだけど…今日はさすがに…]
[あらあら疲れたわよね。ふふ…今日も頑張ったね]
[ありがとう!おばあちゃん…!]
そんな何気ない会話をしていていたときだった。
カラカラと店の引き戸が開く音がする
[すみません…まだやってますか…?]
どうやらお客さんのようだ
急いできたのかとても汗だくだが
[あらあら〜もう少しで閉めちゃうけど少しなら大丈夫よ〜!]
[あ、おいもう閉めるんだっていったろばあさん!]
[あらいいじゃない〜8時は過ぎてるけど少しだけ延長しましょうよ!ね!]
[ったく………しょうがねぇな………]
(おじいちゃん相変わらずおばあちゃんに甘いな……)
いつもの光景だから見慣れているけれどこういったお客さんも珍しくない
断る理由もなかった
[ああ…!よかった…ありがとうございます]
[ほら条 こっちだ]
(あれ?もう1人いたの…?誰だろう…?)
そう声をかけられて入ってきたのは黒髪の背のある男の子
深碧の目が特徴的でその光が私に向けて輝きを放っていているようで目が離せない
(なんて綺麗な)
思えばこの時から私は彼に惹かれていたのかもしれない
それが条くんとの出会いだった