第5章 ※危機Ⅰ
[十亀条Side]
こんなことをされるのは嫌かもしれない
そう思ったけど
(ごめん…ちゃん)
とにかく 彼女の涙を止めたくて力いっぱい抱きしめた
もうあの男は手を出してこない
俺しかいないから大丈夫
そんな気持ちを込めながら壊れないように優しく
(大丈夫だよ……ちゃん…)
何より安心してほしくて必死だった
最初抱きしめられた時彼女は驚いていたようだった
きっと何が起きたかわからなくて錯乱してただろう
けれど俺は言葉をかけると安堵したのか逆に涙が止まらなくなったようだ
最初逆効果だったのかと焦ったがこうして感情を露わにしてくれてほっとした
目から涙は出ていたけど絶望している顔に見えて
あのままだったらどうなっていたのか考えるとぞっとするけど
とにかく俺なんかでも助けになれているようで嬉しかった
どうなるか不安ではあったけど安心することができていた
(さ〜て……)
(後はぁ…)
ちゃんがもう少し落ち着くまでこのままでいようとしばらくの間抱きしめていた