第44章 ※悲哀
[え……っ……]
[…………っ…ぐすっ]
[…………]
せっかく引っ込んでいた涙が溢れてきてしまった
拭いても収まる気配が一方にない
そんな事言われてしまったら
(………駄目だ)
"甘える"に決まっている
こんなに弱い性格だから頼ってしまう
梶さんを信頼しているから余計に
[………え……!]
ぐいっと肩を抱かれる
強引に 荒々しく感じられてしまい
[か、梶さ………]
彼の名前を呼ぶもピリピリとひりつく空気を感じてしまい口を閉じてしまう
[………………]
[[…………………]]
(…怒ってる……?)
表情が見えないから分からないけどそんな気がする
でもどうして
[わっ………!]
疑問を浮かべているとくるりと世界がひっくり返る
彼の整った綺麗な顔が目の前に広がっている所を見るにどうやら押し倒されたようだ
[え、えっと………!?]
[梶…さ…]
事態が把握できないしどうしてこんなことをしたのか理解できなかった
けれどすぐに答えは返ってくる
[お前にそんな顔をさせた奴は]
["獅子頭連"の奴らか]
(え)
許さない
とでも言わんばかりに鋭い視線が私を射抜く
こんなに恐ろしい彼を見るのは初めてだ
[………っあ]
[か、梶さん…そ…の]
[………………]
私 言った覚えがないのにどうして知っているの
目線が泳ぎ合わせられない
(だって)
それほどまでに梶さんの瞳は氷のように冷たく恐ろしいのだから