第43章 ※現実
[十亀条Side]
(ああ)
(やってしまったなぁ…)
彼女に最低なことをしてしまった
許してくれと言われても許してくれないだろう
俺は"過去の奴ら"と大差ないことをしてしまったのだから
[あーあ……]
独り言をポツリと呟きながらソファに寝転がり天井を見つめる
見つめたとて何も変わらないというのに
(…………ちゃん)
泣かせないって 幸せにするって誓ったくせに
あんな顔をさせて追いかけもしない俺は
(最低だなぁ)
彼女はきっと噂を聞いて心配して来てくれたのだろう
あんなに一生懸命になってくれて嬉しかった反面巻き込みたくなかった
巻き込んでしまえば彼女が壊れるのではと
(そんなの嫌だ)
だから遠ざけることをした
なのに
(どうして)
君はいつも俺が助けてほしい時に現れる
正義のヒーローのように手を差し伸べて
(やめて)
(やめてよちゃん)
せっかくの決意が揺らいでしまう
(じゃあ)
嫌がることをして俺を嫌えばいい
皮をはぐ行為をする俺に幻滅すれば嫌いにもなる
そして二度と俺に会いに来なくなる
[…はぁ]
ため息しかでない
自分に飽き飽きしているがこれでよかったんだ
彼女に害が及ばなければ
(…………っ)
"俺のこと"を忘れて幸せになってくれれば
それでいいのだから
(疲れた)
考えたくない
今頭に有るのはそれだけ
この悪夢を忘れたいがためゆっくりと瞼を閉じ眠るしかなかった